#19 師匠カンフーマスター

 

パオパオが犬舎からやって来た時、彼は自分のお母さんの匂いの付いたクマのぬいぐるみの人形を持ってきました。

そしてそれに顎を載せて寝たり、それを加えて移動したりして愛用していました。

そのうち歯が生えてきて痒くなると、色々な物をカジカジするようになって、このクマのぬいぐるみ人形をもカジカジ振り回すようになりました。

それに加えて活発に動くようになってやんちゃ度が増してきたので、これは何か散歩の他に運動して発散させた方がいいと思い、クマのぬいぐるみ人形でパオパオを運動させることにしました。

ぬいぐるみ人形と戦って体力や反射神経(お座敷犬に必要なのか(ノ∇≦*)?)を鍛える時間を設けました。

こうして、パオパオのお母さんの匂いの付いたそれは、「カンフーマスター」として生まれ変わりました。

 

~カンフーマスター(上)~

 

おもちゃでカジカジやっているところへ手に持ったカンフーマスターで煽ってみたら、「!!」とそれを見て近寄ってかぷっと噛みました。

それなので、抵抗して離れてからちょっと体当たりをしてみると、パオパオも火がついてちょっと本気でアタックしてきました。

押したり引いたり膠着してから離れて、カンフーマスターでアタックしたら、「ワンッ!」と吠えて本気になって突進してきました。

もっと大きめに押したり引いたりしてから振り払ったら、パオパオがゴロンとひっくり返ってしまいました。

「やばいっ」と思ったのも束の間で、起き上がって「グルルルー、ブーブー」と興奮して突進してきました。

振り払ってからカンフーマスターをジャンプさせて遠くへやったら、パオパオもそっちへ走って行って喰らいつこうとします。

もう一回ジャンプさせて逆の方以降に持っていくと、又そっちへ走って食らいつこうとします。

カンフーマスターを大きくジャンプさせて空中で腕を何回か回して地面に置くと、まるでくるくる回転して着地するようにみえます。

それを興奮した様子で目で追って、着地するとまたがぶっと喰らいつきに行きます。

空手や少林寺拳法といった武術の体捌きのようにカンフーマスターをちょっと斜めに身をそらせると、突進してきたパオパオが通り過ぎてしまい、また引き返して突進してきました。

逆にこっちからアタックしてパオパオに向かっていくと、正面衝突してパオパオがひっくり返えったりもしました。

側で弟がウケていました。

このような特訓が毎日のように行われて、パオパオは徐々に力をつけていきました。

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