うちには弟が一人いる。
彼は元は猫好きだった。
でも彼が以前飼ったことがあるのはリスとザリガニくらい。
もっぱら外猫を可愛がり、ランニング中に出会う猫たちとのふれあい(休んでいる!)について家に戻ってくるとよく話していた。
それなので、ペキニーズを飼うと決まった時は猛反対し「猫がいいよ、猫にしようよ。」とずっと言っていた。
時間がたって少し譲歩しだしても「柴にしようよ、柴が可愛いよ。」と言って聞かなかった。
近所にペキニーズを飼っている家がないのでイメージ出来ないらしく、ペキニーズの画像をネットかどこかで見て、「パグのような鼻ペチャでしわのある顔に毛がかぶさっている!?」と、不思議な姿にびっくりして「小型犬だったら、豆柴の方がいいよ。」と、うちで一人で反発していた。
そう言っているうちに長期の出張に出て行ったので、弟はパオパオにまだ会っていなかった。
弟が出張から帰ってきた。
家の人が「犬いるよ~。」と声をかけると「ペキニーズ?」と聞くので「そうだよ~♡」とったら、ちょっとテンション低めに部屋に入ってきた。
「あそこのケージの中にいるよ。」と言ったら、そっちへ行ってケージを覗いた。
「え??」「これ、ペキニーズ!?」
ちょっと意外、という表情をした。
それから弟がケージに沿って歩くと、パオパオもパタパタっと跳ねるように弟について行った。
「えっ!?ついて来るよ!」
弟がまたちょっと移動すると、パオパオも一緒について来る。
弟のテンションがかなり上がったようだった。
夜遅く、就寝しようとしていたら、弟が私の部屋に入ってきて、「ペキニーズって可愛いな~。」と言った。
「そうでしょー?これからずっとうちにいるよ。」と言うと、弟はちょっとうきうきした様子で自分の部屋に戻っていった。
そして部屋の中から、
「うちに天使がやって来た!」
と独り言を言ったのが聞こえた。
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